『怪盗リリー』 by ぐみ
普段、私は何食わぬ顔をして事務職を地味にこなしている。
そんな私の夜の顔が「怪盗リリー」であることは誰も知らない。
盗みの現場に百合の花を置いてくるうちに、そう呼ばれるようになった。
今まで盗みに入った回数は、足掛け3年で実に98回。
警察はいまだに犯人の目星をつけられず、すっかり信用を失ってしまっている。
99回目の盗みのターゲットは、 「月の炎」と呼ばれる世にも珍しい赤いダイアモンド。
国内の美術館での展示が終わり、 次の展示国へ輸送される前に
美術館倉庫で保管されているところを狙った。
いつものようにコンピュータ制御のセキュリティシステムをすべて外し、今回は
麻酔弾で警備員を全員眠らせた。
まったく労せず、私は「月の炎」の前に立った。
美しい。
とてもクールな透き通った赤い輝きに、私は見とれた。
「動くな!」
突然の背後からの男の声に、私は驚かされた。
私は動揺を隠しつつ、ゆっくり振り向きながら静かに言った。
「今日の警備では警備員以外は倉庫に入らないはず・・」
警備員服以外の者は何者であっても取り押さえるために、 そういう対策を
取るという情報を、私は事前に入手していた。
でも、私に銃口を向けて立つその男は私服刑事のようだった。
「敵を欺くにはまず味方から。俺は本来、今日は非番だ。
昨日からここに忍び込み、お前が来るのを待っていた。 観念しろ、怪盗リリー」
私はレオタード姿に仮面をつけたこの姿を、ついに人に見られてしまった。
「私はまだ何も盗んでいない。その引き金を引いたら殺人になるわよ」
「不法侵入罪でお前を現行犯逮捕する。逃げれば業務執行妨害だ」
私はそんな問答をしつつ、この私服刑事の顔を見ながら、どうやって
この場を逃げ出すかを考えていた。
「月の炎」もあきらめていない。
初めて見るこの刑事、よく見るととても若い。
顔立ちも整っていてきれいだ。
これまでこちらから一方的には何度も見てきた刑事達は一体どうしたんだろう。
私を捕まえられなくて任務を外されたのか。
「あなたも不法侵入でしょ? おまけに非番じゃ業務も執行できない」
私はそう言うと、刑事に向かって麻酔弾を撃った。
刑事は飛び退いたが、私は素早く彼の背後に回り込み、彼を羽交い絞めにした。
そしてそのまま彼の手から銃を蹴り落とし、彼の首筋にナイフを当てた。
「くっ!」
私の機敏な動きは、彼の予想以上だったらしい。
首のナイフに恐怖を感じ、彼の心臓の鼓動が早くなっているのがわかった。
「安心なさい、大人しくしていれば危害は加えないわ」
私は間近に彼の顔を見ながら、この先の行動を決めた。
私は彼の耳に息をかけながら、静かに囁いた。
「あなた、かわいい顔してるわね」
彼はビクッと肩をすくめ、耳を隠した。
私は羽交い絞めが解けないように注意しながら、右手を彼の股間に
ずらし、そこにある膨らみをやさしくまさぐった。
「なっ!」
「そんなに驚かなくてもいいでしょう。もしかして、あなた童貞君?
ふふ、刑事の仕事は一人前にできても、こっちはまだお子様なのかしら」
「や、やめろったら!」
「こんなにかっこよくて、嫌がっても女の子に近寄ってこられそうなのに」
私は彼のズボンを脱がせ始めた。
「な、イヤだっ、やめろ!」
ベルトを外し、ボタンを外してファスナーを下ろすと、 足を使ってズボンを一気に彼の足首まで下ろした。
今度は地味なトランクスの上から股間をまさぐった。
「こんな普通の大学生みたいなパンツを穿いているのね。
いいわ、ウブっぽくてますますそそられる」
「あ、くそ、何でこんな・・」
彼の顔は恥ずかしさにこれ以上ないというくらい真っ赤になった。
「決めた。今日は「月の炎」と、あともう一つ記念に、かわいい刑事さんの
パンツをいただいて帰ることにするわ」
私はそう囁き、足を使ってトランクスも一気に引き下ろした。
「あっ!」
恐怖と羞恥に小さくなった彼のペニスが現れた。
先端は半分が皮に包まれている。ヘアーは薄い。
彼の身体の中で一番敏感なその部分を、私はキュッと握りしめた。
「あぅっ!」
「全然使ってなさそうなきれいな色ね」
私はゆっくり、握ったるゆるめたりを繰り返した。
彼は必死で逃げ出そうともがいた。
でも私は怪盗リリー。逃げられはしない。絶対に。
「でも、男の子として身体は健全みたい。良かったわ」
少しずつ彼のペニスは大きくなり始め、たわいなく完全に勃起した。
「や、やめろ!離せ!」
私は卑猥な形に変化した彼のペニスの先端の皮をゆっくり剥いた。
「くぁっ・・」
彼は一瞬抵抗をやめ、小さく喘いだ。
そして私は、彼のペニスを握った手を、静かに上下に動かし始めた。
「怖がらなくていいのよ。楽しみなさい」
「い、イヤだ・・」
上下に動かしながら、指を微妙に動かした。
いつの間にか、彼は抵抗するのを完全にやめてしまった。
もはや自分の力では立っていることもできなくなったようで、 私が羽交い絞めに
しているというよりは、 私が抱きかかえて立たせてあげている、という状態になった。
「どうしたの? 気持ちよくなってきちゃったの?」
彼はきつく目を閉じたまま何か答えようとしたけれど、 声がかすれてただ吐息になるだけだった。
先端から湧き出した液で、ペニスはもうベタベタになっていた。
「女の人の指って、細くてしなやかでいいでしょう」
私は握った手の指一本一本を別々の生き物のように蠢かせた。
彼の額には汗がにじみ、前髪が少し張り付いている。
「どこが一番感じる? ここ? ここ? それともここ?」
亀頭を赤ん坊をあやすように撫でまわし、 親指と人差し指で作った輪で
くびれを囲んで左右に回転させ、 堅くなった茎を擦り、睾丸を掌の上で転がした。
彼の閉じた目のまつげが長い。
吐息を漏らす少し開いた愛らしい唇が乾いている。
「あなた、すごくセクシーだわ。 私、一生あなたをかわいがってあげてもいいかも」
もう彼はまったく抵抗していないので、私は羽交い絞めの力を抜き、彼の
締まったヒップもいやらしく撫で回した。
少年のような小さな丘は滑らかで、谷間は快感に汗ばんでいた。
「でもダメね。あなたは刑事、私は泥棒」
彼のペニスが一際堅くなるたびに、 私はしごく手を休ませたり、また動かしたりを繰り返した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・」
でも、もう彼は限界から逃げられないようだった。
ペニスがまるで精液で満たされて勃起しているかのような、強烈な射精感を感じているに違いなかった。
今まさに、それが満ち溢れようとしていた。
「捕まってあげられなくてゴメンね」
私はそう言って、少し強めにペニスをしごいてあげた。
「あぁ、ヤベ、イクッ、うっ!」
ヴピュッ! ヴピュッ! ・・
私は手のひらに、彼のペニスが力を振り絞って敗北の精液を射出する感触をしっかりと感じ、勝利した。
何度もほとばしる純白の精液。
独特の臭いがたちこめた。
美青年の射精する姿は思いのほか官能的で、私は見とれていた。
やっと射精が終わると、私は彼の身体を床に寝せてあげた。
まだ呼吸は荒い。
見れば、きれいな顔の目じりには少し涙が出ている。
下半身は裸で、足首にズボンとトランクスが丸まっている。
精液を垂らした半勃起状態の若いペニスを惜しげもなく晒して。
私は99個目の獲物「月の炎」を手にした。
「きれい・・今までの獲物の中で最高に美しいわ」
「月の炎」も私の勝利を喜んでくれているかのように赤く輝いていた。
それから私は、刑事の足首に丸まったトランクスを見やった。
「約束通り、あなたのパンツもいただいていくわね」
私は100個目の獲物を脱がせ取り、彼の潤んだ目の前に振って見せた。
そして彼のトランクスで「月の炎」を包み、レオタードの胸にしまった。
「それじゃ行くわ。あなたも不法侵入がバレないうちに、早くここから出て行った方がいいわよ」
私は彼の頬にキスをし、「月の炎」のあった所に百合の花を置いた。
「じゃあね、泥棒の手でイかされちゃったかわいい刑事さん」
ショックが大きすぎたのか、まだ動けないでいる彼に背を向け、 私はその場を去った。
私は家に戻り、美しく輝く99個目の獲物を鑑賞しながら、一人ワインで99回目の祝杯をあげた。
これがあるから泥棒はやめられない。
そしてグラスを空けると、もう一杯ワインを注いだ。
今度は100個目の獲物を両手で持って目の前に広げてみる。
「あの刑事、本当にかわいかった・・」
裾の方から手を内側に入れ、あのペニスが触れていた部分を撫でた。
無事に家に帰れたかしら。
今ごろ一人で悔し泣きをしているかしら。
私は100回目の祝杯のワインを飲みながら、 私を捕まえるために、彼がまた現れてくれるよう祈った。
[END]